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あれは卒業式だった

はじめの記事は何を書こうかな、と悩んだところで。
今週のお題「卒業」、ということらしい。



学校を卒業する以外に、
人生には何かを卒業する瞬間があるのです。

例えば、インディーズバンドを追っていたとき。
「メジャーデビュー決定?おめでとう!サヨナラ!」とか。

例えば、ジャニーズJrを追っていたとき。
「握手会で握手したら気が済んだわ!サヨナラ」とか。

他にもいろいろな卒業は経験してきたのですが、
個人的にいちばんインパクトあった卒業は。
「昔、病むほど好きで好きで仕方ない人がいて、
別れたあとも数年引きずっていて、
住んでいた場所や会社まで思い出せるし、
デートしたお店も覚えているのに、
ある日、その人の名前を覚えていないことに気づいた瞬間。」
かな。

本当に。
なんで忘れたんだと呆れるくらいに、
きれいに名前だけ忘れてしまって。
卒業というよりは、一種の現実逃避というか、自己防衛的なものでしょうか。

オバケがみえたはなし。

大した話でもないんですけどね。

妹が、おばけが見えると言い張っていたことがあるんですよ。
彼女が中学生くらいのときかな?
まあそういうアピールしたい時期ってあるよね。
と、斜に構えていたい年頃のわたしは適当にあしらっていたのです。

ちょうどお盆時期でした。
そのときにも「仏壇の部屋に女の人が座っている」と言い出して。
正直「またか」と思いましたよね。

そうしたらですね、電話が鳴りまして。
それを受けたのが、わたしでした。
電話の相手が話している言葉がわからない。
でもイタズラ電話ではなさそうで、困っていると。
「そうか、言葉がわからないのか。おじいちゃんに代わって」。
急に標準語になり、不思議な気持ちのまま、祖父に取次ぎました。
そう言えば、祖父は九州の出身だったと思い出しながら。

「妹が、死んだ」

電話を切った祖父が、そう言いました。
数十年前に行方不明になった、祖父の妹が亡くなったと。
あまり実家のことは話さない人でしたので、
祖父の妹がどんな経緯で実家に戻ったのかは、わかりません。

「兄弟の、最後の生き残りだったんだけどなあ」

そう言いながら、仏壇に向かい、立ったままお線香を上げていました。


その日から、女性のおばけは現れなくなった(妹談)そうです。
妹の見たおばけの年齢は、ちょうど行方不明になった当時くらいの
祖父の妹さんの年齢だったそうです。


(了)