オバケがみえたはなし。
大した話でもないんですけどね。
妹が、おばけが見えると言い張っていたことがあるんですよ。
彼女が中学生くらいのときかな?
まあそういうアピールしたい時期ってあるよね。
と、斜に構えていたい年頃のわたしは適当にあしらっていたのです。
ちょうどお盆時期でした。
そのときにも「仏壇の部屋に女の人が座っている」と言い出して。
正直「またか」と思いましたよね。
そうしたらですね、電話が鳴りまして。
それを受けたのが、わたしでした。
電話の相手が話している言葉がわからない。
でもイタズラ電話ではなさそうで、困っていると。
「そうか、言葉がわからないのか。おじいちゃんに代わって」。
急に標準語になり、不思議な気持ちのまま、祖父に取次ぎました。
そう言えば、祖父は九州の出身だったと思い出しながら。
「妹が、死んだ」
電話を切った祖父が、そう言いました。
数十年前に行方不明になった、祖父の妹が亡くなったと。
あまり実家のことは話さない人でしたので、
祖父の妹がどんな経緯で実家に戻ったのかは、わかりません。
「兄弟の、最後の生き残りだったんだけどなあ」
そう言いながら、仏壇に向かい、立ったままお線香を上げていました。
その日から、女性のおばけは現れなくなった(妹談)そうです。
妹の見たおばけの年齢は、ちょうど行方不明になった当時くらいの
祖父の妹さんの年齢だったそうです。
(了)